COVID-19罹患後症状について ③ 神経系症状
神経系の罹患後症状について
疲労感・倦怠感、思考・集中力低下(brain fog)、頭痛、睡眠障害、めまい、
嗅覚・味覚異常、筋痛、しびれ
などが報告されています
発症から6 週間以上持続する神経症状があった方は,
疲労感・倦怠感(85%),brain fog(81%),頭痛(68%),しびれ感や感覚障害(60%),
味覚障害(59%),嗅覚障害(55%),筋痛(55%)
を認めたと報告されています。
疲労感・倦怠感は、
筋痛性脳脊髄炎/ 慢性疲労症候群 (Myalgic Encephalomyelitis/Chronic Fatigue Syndrome, ME/CFS)
に類似している病態の可能性が報告されています。
筋痛性脳脊髄炎/ 慢性疲労症候群とは
検査上は明らかな原因がはっきりしないのに対し、6ヵ月以上続く、もしくは再発を繰り返す
強い倦怠感を伴う日常活動能力の低下
活動後の強い疲労・倦怠感
睡眠障害、熟睡感のない睡眠
認知機能の障害、または起立性調節障害
がみられるものを指します。
(厚生労働省「CFS研究班」ホームページ 『慢性疲労症候群とは』より引用)
強いストレスや、ウイルス感染による免疫系の異常などの関与が示唆されていますが、原因はまだ明らかとはなっていません
brain fog は,
「脳の中に霧がかかったような、頭がボーっとする」状態で
記憶障害、集中力不足,精神的な疲労,不安などの症状がみられます。
うつ病や、認知症の早期を反映している可能性もあります
頭痛,筋痛,認知症状 などは、時間の経過とともに改善することが多いようですが
疲労感・倦怠感は、持続し増悪する可能性もある
と報告されています
神経系の罹患後症状発症のリスクとして
重症度が高い、喫煙者、女性、肥満、高齢、糖尿病 など が挙げられています
罹患後症状(神経系症状)の評価と対応について
神経系症状が3か月~半年以上続く場合
まずは、COVID-19 とは関係のない他の病気がないか調べます
神経系の精密検査 → 専門医療機関で頭部MRI、脳波,脳脊髄液検査
熟眠感がない場合 → 睡眠時無呼吸群検査
動悸や頻脈,起立性低血圧 → 自律神経異常症を疑います
疲労感・倦怠感が強い場合 → 血液検査、内分泌検査などを行います
明らかな原因がない場合は、罹患後症状と診断します。
まとめ
神経系の罹患後症状は疲労感・倦怠感、brain fog、頭痛、睡眠障害などが多くみられます
時間とともに回復することが多いですが、疲労感・倦怠感は持続する可能性もあります
COVID-19以外の原因がないかを調べ、明らかではない場合は罹患後症状と判断します
確立した治療法は定まっていませんが、症状を和らげる対症療法を行います。
引用文献
厚生労働省 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き
別冊 罹患後症状のマネジメント 第2.0版 (2022年10月14日)