ブログ

よくある症状 ⑥発疹について

2023/02/21

                                                          

見た目でわかる皮膚の変化 を 皮疹 と呼びます

そのうち特に急に現れた皮疹を 発疹 と呼びます

赤くなってかゆい、ぽつぽつがでた、皮膚がもりあがってきた、など様々あります。

                                                          

皮疹は 原発疹 と 続発疹(原発疹が変化したもの)に分類されます

それぞれの見た目、大きさ、経過により以下の呼び方に分かれます

                                                          

原発疹

盛り上がりのない色の変化 → 紅斑(赤)、紫斑(紫)、色素斑(その他) 

盛り上がりのあるもの → 丘疹(1cm未満)、結節(1-3㎝未満)、腫瘤(3㎝以上)

内容をいれた盛り上がり →水疱(水)、膿疱(膿)

一時的な盛り上がり → 膨疹(24時間以内に消退) 

                                                          

続発疹

皮膚が欠損するもの →表皮剥離、びらん、潰瘍、亀裂(深さで名称が変わります)

隆起、または陥凹するもの → 瘢痕、苔癬化、萎縮(皮膚が固くなり縮んだものなど)

皮疹上に付着するもの → 鱗屑、痂疲(かさかさ、かさぶたなど)

                                                          

診断の手順は

急性の発疹(数日~2週以内)

・亜急性(2週~1か月以内)・慢性(1か月以上)

によりわかれます

                                                          

急性の発疹のうち、生命にかかわる重要緊急疾患をKiller rashと呼びます

Killer Rash として以下の病気が知られています

                                                          

敗血症疹、電撃性紫斑病(髄膜炎菌感染症など)、感染性心内膜炎、トキシック・ショック症候群

スティーブンス・ジョンソン症候群、中毒性表皮壊死症、川崎病、アナフィラキシー・ショック

                                                          

重症を示唆するサインred flag sign)

 バイタルに異常がある(脈拍、血圧、血中酸素濃度の異常)

 アナフィラキシー症状(皮膚の他、呼吸・循環・消化管症状)

 急速に拡大する皮疹、特に水疱、紫斑

 髄膜刺激徴候(頭痛、嘔吐、項部硬直:首を前屈できないなど)

がある場合は重症の可能性があり、専門医療機関の受診が必要です。

                                                          

red flag singがない場合は、発熱の有無や、発疹の範囲で病態を鑑別します

                                                          

発熱がある場合

局所性(体の一部分にみられる)

 水疱 → 単純ヘルペス、手足口病、水痘など

 紅斑・丘疹 → 丹毒、蜂窩織炎、壊死性筋膜炎、麻疹、全身性エリテマトーデスなど

 紫斑 → 感染性心内膜炎など

                                                          

全身性(体の全体にみられる)

 水疱 → 水痘、播種性帯状疱疹、痂疲性伝染性膿痂疹、敗血症疹など

 紅斑・丘疹 → 麻疹、風疹、伝染性単核球症、HIV感染症、伝染性紅斑、猩紅熱、ツツガムシ病、川崎病など

 紫斑 → 敗血症疹など   

                                                          

発熱がない場合

 接触性皮膚炎(かぶれ)、じんましん、虫刺症(虫刺され)、帯状疱疹、毛嚢炎など

                                                          

※亜急性・慢性経過の皮疹の場合は、特殊な病態の可能性があり、皮膚科専門医の診察が必要です

                                                          


まとめ

 急にでてきた皮膚の変化を発疹とよびます

 一般的にはアレルギー感染が原因となることが多くみられます

 症状が強い場合や悪化する場合は、すぐに専門医療機関へ紹介が必要です。

                                                           

参考文献

外来医マニュアル第4版 第2章 症候編 発疹 医歯薬出版

臨床医マニュアル第5版 24章 皮膚・軟部組織疾患 医歯薬出版

よくある症状 ⑤倦怠感について

2023/02/09

                                                          

倦怠感は一般的に だるいつらい と表現されます

疲れやすい、から 疲れてなにもできない まで程度は様々あります。

                                                          

倦怠感の原因としては、以下が挙げられます

                                                          

急性発症意識障害、症状がつよい(呼吸・苦痛など) 冷汗嘔吐血圧低下 

などがみられるものは重症の可能性があり、早期に診断が必要です。

                                                          

倦怠感の他にある症状(随伴症状)で原因の鑑別をします

                                                          

 発熱 → 感染症、膠原病・血管炎、悪性腫瘍、肝炎

 労作時呼吸困難 → 心不全、貧血

 悪心 → 肝・腎・副腎不全、薬物・毒物

 口渇 → 脱水、糖尿病、高Ca血症、薬物

 体重減少 → 慢性炎症・感染症、悪性腫瘍、糖尿病、甲状腺機能亢進症、副腎不全

 体重増加 → 心不全、腎不全、甲状腺機能低下症

 便秘 → 高Ca血症、甲状腺機能低下症

 しびれ → 栄養障害、糖尿病

 抑うつ気分 → うつ病

                                                          

それぞれの病気の特徴を挙げます

                                                          

①心不全

 発症リスク: 動脈硬化のリスク(特に高血圧)、虚血性心疾患、弁膜症、心筋症の既往など

 症状: 胸痛、呼吸困難、臥床時の咳むくみ、体重増加、動悸、失神

                                                          

②貧血

 発症リスク: 腹部手術歴、癌の既往、肝疾患・腎疾患、月経過多、偏食など

 症状: 労作時の息切れ動悸 

                                                          

③脱水

 発症リスク: 経口摂取不良 嘔吐、下痢、多尿、発熱・発汗、高温環境への暴露

 症状: 口渇尿量低下体重減少

                                                          

④感染症

 発症リスク:感染症の暴露歴、免疫不全のリスクがある など

 症状: 呼吸器、肝・胆・膵を含む消化器泌尿生殖器、皮膚、関節などの局所症状

                                                          

⑤肝不全・肝炎

 発症リスク: アルコール多飲、輸血歴、薬剤使用歴、肝疾患既往など

 症状: 食欲不振、悪心・嘔吐、右季肋部痛、腹部膨満、浮腫、黄疸・着色尿、掻痒感、発熱・関節痛

                                                          

⑥腎不全

 発症リスク: 高血圧、糖尿病、腎疾患・タンパク尿、膠原病の既往、薬剤使用歴、腎疾患の家族歴

 症状: 食欲不振悪心・嘔吐、尿量減少、呼吸困難、浮腫

                                                          

⑦副腎不全(ホルモンが不足します)

 発症リスク: ステロイド内服歴、結核やがんの既往、先行するストレス(感染症、外傷、手術など)

 症状: 食欲低下悪心・嘔吐、腹痛、下痢・便秘、発熱、筋肉・関節のこわばり

                                                          

⑧血糖異常(低血糖や高血糖)

 発症リスク: 糖尿病の既往 血糖降下薬・インスリンの使用歴

 症状: 空腹感・あくび(低血糖)、口渇多飲・多尿・体重減少(高血糖)

                                                          

⑨電解質異常

 発症リスク: 癌や呼吸器疾患の既往、薬物、アルコールの使用 など

 症状: 頭痛・悪心・痙攣・意識障害(低Na血症)、脱力・多尿・便秘(低K血症)、多尿・口渇・便秘・悪心・嘔吐・意識障害(高Ca血症)

                                                          

⑩希死念慮を伴ううつ病

 発症リスク: 抑うつ気分、喜びの消失、全身倦怠感の日内変動、睡眠障害、食欲低下、集中力・決断力の低下、不安焦燥、自信の喪失 など

 症状: 暗い表情、小さな声、遅い返答、身だしなみがみだれている など

                                                          

⑪栄養障害

 発症リスク: 摂食障害、消化器手術歴、アルコール多飲歴、慢性下痢、偏食(菜食主義など)、肝疾患の既往

 症状: 体重減少むくみ、しびれ、ふらつき、認知機能低下、皮膚・粘膜のあれ、労作時息切れ

                                                          

⑫薬物・毒物

 発症リスク: 利尿剤、降圧剤、向精神薬、抗ヒスタミン薬、筋弛緩薬、抗癌剤、アルコール、カフェイン、ニコチンをふくめ乱用している薬物の禁断症状の可能性もあり

 症状: 起立性低血圧、意識変容、粘膜乾燥、腸蠕動音低下など

                                                          

⑬膠原病・血管炎

 症状: 筋肉痛・関節痛・こわばり、皮疹、レイノー現象(手足の先が部分的に白くなる)、頭痛、体重減少、眼・口の渇き、顔面紅斑、皮下結節、眼の充血、潰瘍、丘疹状出血斑、関節の圧痛、可動痛、関節腫脹、熱感、知覚低下など

                                                          

⑭悪性腫瘍

 発症リスク: 癌の既往歴、喫煙など

 症状: 体重減少、消化器・呼吸器・泌尿生殖器に関する局所症状、夜間の背部痛・腰痛など

                                                          

⑮甲状腺機能異常

 発症リスク: 女性におおい、甲状腺疾患既往歴

 症状: 動悸発汗過多、暑がり、食欲あるのに体重減少、下痢、月経過少(甲状腺機能亢進症)、眠気、発汗減少、寒がり体重増加、便秘、月経過多、むくみ、認知低下(甲状腺機能低下症)

                                                          


まとめ

 倦怠感は多くの病気でみられ、病気が見つかるきっかけとなることもあります

 ながく続く場合は重大な病気が隠れている可能性もあり、放置せずに原因を調べましょう。

 急速に進む場合や症状が強い場合は、早急な診断と治療が必要です。

 

参考文献

診療エッセンシャルズ新改訂第3版 第2章 全身倦怠感 日経BP

よくある症状 ④咳・痰について

2023/02/07

                                                         

 痰がからむ場合を 湿性咳嗽

 痰がからまない場合を 乾性咳嗽

と呼びます。

                                                    

主な原因は以下が挙げられます。

    

また咳の持続期間により

 3週間以内 → 急性咳嗽

 3-8週間 → 遷延性咳嗽

 8週以上 → 慢性咳嗽

とわけています。

                                                         

以下の項目をもとに原因の鑑別を進めます

①経過

急性

 ほとんどが感冒(かぜ)や急性気管支炎・肺炎などの感染症です

 気道異物、気胸、クループ、気管支喘息、間質性肺炎、うっ血性心不全、刺激ガス吸入も原因となります

遷延性、慢性

 3週間以上持続する咳は感染症の頻度が下がります 

 かぜや気管支炎が治った後に数週間咳が続くことがあります(感染後咳嗽)が、次第によくなることが多いです

 8週間以上は咳喘息、アトピー咳嗽、後鼻漏が多くみられます。

 そのほか結核などの慢性感染症や肺癌も鑑別となります。

                                                         

②時間帯

 夜間~早朝に症状が悪化する場合 → 気管支喘息、咳喘息を疑います

 横になった直後に悪化する場合 → 心不全を疑います

                                                         

③痰の有無

乾性咳嗽の場合(痰がない)

 感冒(かぜ)・気管支炎、気管支喘息、COPD、胸膜炎、

 間質性肺炎、過敏性肺炎、気胸、異物、刺激ガス吸入、クループなど

                                                         

湿性咳嗽の場合(痰がある)

 膿性痰 → 肺炎、急性気管支炎、慢性期気管支炎、気管支拡張症 など

 粘性痰 → 感冒(かぜ)、急性気管支炎、肺炎、気管支喘息、うっ血性心不全、肺癌 など

 血痰 → 肺結核肺癌、気管支拡張症、肺梗塞、うっ血性心不全、肺炎 など

                                                         

④ペットの飼育

 気管支喘息、鳥飼育による過敏性肺臓炎、オウム病(クラミドフィラ感染症)など

                                                         

⑤喫煙

 肺癌慢性閉塞性肺疾患(COPD) など

                                                         

⑥職業歴

 職業性喘息、職場環境に伴う過敏性肺炎(吸い込んだものが原因となる)

                                                         

⑦薬歴

 ACE阻害剤(降圧剤)による咳

 薬剤性肺障害 など

                                                         

⑧居住環境

 転居・新築 → 気管支喘息 

 古い木造建築 → 過敏性肺臓炎

 エアコン→ 空調病 

 羽毛布団 → 慢性過敏性肺臓炎

 温泉・24時間風呂 → レジオネラ肺炎

                                                         

⑨他の症状があるか

 発熱 → 呼吸器感染症、間質性肺炎、過敏性肺炎、胸膜炎など

 喘鳴 → 気管支喘息心不全、COPD、気道異物

 胸痛 → 気胸、胸膜炎、肺炎

 起坐呼吸(横になれない) → 喘息発作うっ血性心不全

 胸焼け → 逆流性食道炎

 咽頭痛 → 感冒、咽頭・扁桃炎

 喉頭違和感 → 咽喉頭異常症 アトピー咳嗽

                                                         

診療の流れは以下の通りです

                                                         

急性発症の初診の場合 → 全身状態が良好であれば感冒や急性気管支炎として加療します

 ※近年はCOVID-19が流行してるため、初診時に抗原検査やPCR検査を行います

 ※喫煙者は禁煙が必要です(咳の原因となります)

                                                         

慢性経過、再診、高齢者、聴診異常所見がある、高熱の場合 → レントゲン検査や血液検査を実施します

 ※近年はCOVID-19が流行してるため、必要時に抗原検査やPCR検査を行います

 ※結核と肺癌は必ず鑑別する必要がありますので、必要に応じて喀痰検査、細胞診検査を行います

                                                        

レントゲン写真や血液検査で所見なしの場合

 呼吸機能検査や喀痰検査(細胞診、培養)を追加します

 副鼻腔炎や喉頭異常所見などの耳鼻科的疾患も考慮します

                                                         

これらの流れで原因を探し、それに対する治療を行います。


                                                         

まとめ

 咳には湿性咳嗽(痰があるもの)と乾性咳嗽(痰がないもの)があります

 咳の特徴や他の症状と合わせ原因を絞り、必要な検査を行い診断します

 急性の咳嗽はほとんどが感染症です。

 治った後も数週間遷延することがありますが、次第によくなることが多いです

 8週以上長く続く場合や悪化傾向の場合は詳しい検査が必要です

                                                        

参考文献

外来医マニュアル第4版 第2章 症候学 咳・痰 医歯薬出版

よくある症状 ③胸痛について

2023/02/02

                                                          

胸痛 にも

「胸が押されているような感じ」、「呼吸すると痛い」、「胸やけがする」、「押すと痛い」

など、種類が様々みられます。

                                                          

胸痛がみられやすい心血管疾患肺疾患の他、

食道、腹部疾患、皮膚・筋骨格疾患、悪性腫瘍も原因となります。

胸痛の原因となる病気の鑑別(太字はKiller Chest Painの原因)

                                                          

診断の手順としては、まずは Killer Chest Painの除外 が重要です

                                                          

Killer Chest Painの原因には

 急性冠症候群(心筋梗塞など)、肺血栓塞栓症大動脈解離緊張性気胸食道破裂

があり、緊急の処置を行わないと生命にかかわります

                                                          

これらの胸痛の特徴は

 「耐え難い」「身の置き所がない」「これまで体験したことのない」

などと表現される激烈な痛みです。

                                                          

ただし心筋梗塞

胸部の「圧迫感:押される感じ」「絞扼感:つかまれるような感じ」と表現されることが多く

「激痛」はすくなく、また高齢者や糖尿病の方では痛みがないこともあり注意が必要です

                                                          


Killer Chest Painではない場合は、胸痛の原因が

 外因(主に外傷)によるものか

 それ以外(内因、感染によるもの)か

を分けて考えます。

                                                          

外因の場合は外傷の既往や、圧迫により胸痛が増強することが目安となります。

外因によらない内因性疾患、感染性疾患による場合は、以下の情報をもとに鑑別します

                                                          

痛みの特徴はあるか

 痛みの部位、持続時間、発症時間、痛みの性質、程度、放散(体を突き抜ける感じ)の有無

 増悪・軽快の有無、これまで同様の痛みの有無

                                                          

既往やかかっているの病気はあるか

 心血管疾患(虚血性心疾患、弁膜症、心筋症)、高血圧症など

 肺疾患 慢性閉塞性肺疾患など

 代謝・内分泌疾患 脂質異常、糖尿病など


胸痛の他の症状があるか

 呼吸困難、咳嗽、喀痰、喀血、悪心・嘔吐、胸やけ、動悸、冷や汗、失神

                                                          

これらの情報をもとに疑わしい病気を推定し、必要な検査を行い診断をします

検査には血液検査、心電図検査、レントゲン検査、CT検査、上部内視鏡検査などが必要です

                                                          


まとめ

 胸痛の原因は多岐にわたります

 その中でも緊急の処置が必要なKiller Chest Painの見極めが重要です

 他の症状や経過をもとに検査を行い、原因を調べ治療を行います

                                                          

参考文献 

臨床医マニュアル第5版 7-13 胸痛 臨床医マニュアル編集委員会 (編集) 医歯薬出版

よくある症状 ②呼吸困難について

2023/01/30

                                                         

呼吸困難 とは

 「呼吸時の不快な感覚」という、主観的な症状を指します

呼吸不全がある場合とない場合があります。

                                                         

呼吸不全 とは 

 「室内気吸気時のPaO2 60Torr(SpO2 ≦90%)となる呼吸障害、またはそれに相当する異常状態」

であり、医学的に「酸欠」があるかどうかで決定されます。

正確には血液ガス分析で評価しますが、パルスオキシメーターで代用する場合は SpO2≦90%相当です

                                                         

呼吸困難は、不安に伴うものなど、呼吸不全を合併しない場合も多くみられます

                                                         

呼吸困難の原因となる疾患は、以下のとおり多岐にわたります

                                                         

図: 呼吸困難の原因疾患

                                                         

呼吸困難の評価

① 呼吸不全があるかどうか

 血液ガス分析、もしくはパルスオキシメーター(SpO2 ≦ 90%)で評価します

 その他、呼吸回数や呼吸の仕方なども合わせ総合的に判断します

                                                     

呼吸不全があり、さらに      

 呼吸回数が多い(1分間に30回以上)、チアノーゼ(血色が悪い)、冷や汗、

 頻脈、振戦(ふるえ)、血圧低下意識障害(興奮・傾眠) 

などがある場合は、重症の可能性があります

                                                         

② 発症状況(超急性、急性、亜急性、慢性)の確認

発症の状況から

 超急性(当日~数日)、急性(1か月以内)、亜急性(1~3か月)、慢性(3か月以上)

を確認し、それぞれに応じて原因のあたりをつけます

特に、超急性・急性で症状が強い場合は、早急に診断を付ける必要があります

                                                         

③ 他の症状や全身状態の評価

呼吸困難は呼吸器・循環器疾患以外にも

 神経筋疾患、内分泌疾患、血液疾患、腎疾患、中枢神経系疾患、悪性腫瘍 など

でもおこります

                                                         

そのため

 発熱、せき、たん、胸痛、足のむくみ、手足のしびれ・脱力、貧血 など

がみられるかどうかも診断のために重要です

肺や心臓の病気では、ヒューヒュー、ゼイゼイと音が聞こえたり、咳や痰が増えることが多く見られます

                                                         

④ 検査

血液検査

 血算、生化学、CRP、Dダイマー、BNP、内分泌検査、感染症検査 など

画像検査
 胸部レントゲン検査 CT検査 など

生理学的検査
 肺機能検査、心電図、心エコー検査 など

                                                         

これらの流れから原因を評価し、それぞれの治療を行います

                                                         


まとめ

 呼吸困難自覚症状で、呼吸不全(酸欠)がある場合と、ない場合もあります

 呼吸器・循環器疾患が多いですが、他の病気も原因となることがあります。

 発症の仕方・他の症状・検査結果をもとに原因をしらべ、治療を行います

                                                         

参考文献 

臨床医マニュアル第5版 7-15 呼吸困難 臨床医マニュアル編集委員会 (編集) 医歯薬出版

 

 


よくある症状 ①発熱について

2023/01/26

                                                          

年齢を問わずよく見られる症状の一つです

                                                          

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)では

 「発熱」 体温が37.5℃以上

 「高熱」 体温が38.0℃以上

を指します。

                                                          

よく言われる「平熱」、や「微熱」の定義はありませんが、一般的には

 「平熱」 37.0℃ 未満  

 「微熱」 37.0~37.4℃ 

があてはまります。

                                                          

「平熱」には年齢の影響や個人差もあるため、それぞれご自分の平熱を知っておくとよいでしょう。

おおよそ「平熱」+0.5~0.7℃が、なんとなく調子のすぐれないと感じる「微熱」の目安と考えられます。

厚生労働省は37.5度以上の「発熱」が4日以上続く場合をCOVID-19を疑う目安としています。

                                                          

体温は測定する条件(場所、時間、性別、年齢など)によっても変わるため注意が必要です。

 測る部位  (直腸>口>腋の下で0.3~0.5℃の差)

 健康な方でも0.5-1.0℃ほどの日内変動 (早朝に最低で夕方に最高、腋窩で37.3℃まで許容)

 月経のある女性 (黄体期に+0.6℃上昇もありえる)

 超高齢の方や低栄養の方 (体温が低くなることがある)

                                                          

                                                          

発熱の病態は大きく二つに分類されます 

①Fever(発熱) ②hyperthermia(高体温症) 

                                                          

Fever(発熱) → 解熱剤が有効です

 外因性(感染や化学物質)、内因性(組織壊死や免疫反応)により

 マクロファージなどの免疫細胞が発熱物質(サイトカイン)を放出することで

 視床下部の体温調節中枢の設定値を上昇させ体熱産生と放熱抑制が起き体温が上昇

                                                          

何らかの原因により炎症が起こり発熱物質がつくられるため体温が上がる仕組みです。

例: 感染症、腫瘍、膠原病・血管炎、肉芽腫、アレルギー、組織壊死、血栓症・塞栓症、輸血反応など

原因の治療や、発熱物質を抑えることで熱を下げることができます

                                                          

Hyperthermia(高体温症) → 解熱剤が効きません

 放熱能力を抑える環境要因(高温環境、乳児の過度の厚着)や身体的要因(内分泌疾患、薬剤)による

 代謝亢進に伴う熱産生の増加、熱放熱の低下によって体温が上昇

 体温調節中枢の設定値の変更はない

                                                          

炎症ではなく、環境要因や全身の代謝が病的に上がること体温が上がる仕組みです

例: 熱中症内分泌異常(甲状腺機能亢進症、副腎クリーゼ、褐色細胞腫など)、薬物作用・離脱、うつ など

強制的に冷やさない限り体温が下がりません。

                                                        

診療の流れとしては、まずは経過から発熱の原因を類推します。

                                                          

①急性(発症後数日以内)

原因としてウイルスや細菌などの感染症が多くみられます

感染症が重症化しやすい要素として

 年齢  3か月未満の小児、超高齢者

 免疫不全状態 ステロイド・免疫抑制剤、脾摘後、HIV感染

 重度の基礎疾患  糖尿病、腎不全、肝硬変、COPD,悪性腫瘍

 人工器官などの体内異物  人工弁、人工関節、人工血管など

があり、あてはまる場合は特に注意が必要です。

                                                        

他に身体所見や血液検査から他の緊急対応が必要な病気も鑑別します

(肺塞栓・梗塞、心筋梗塞、腸管壊死、劇症肝炎、副腎クリーゼ、甲状腺疾患など)

                                                        


②亜急性(週の単位)~慢性(月の単位で持続)

 慢性感染症(肺結核などの抗酸菌症、真菌症など)

 膠原病・血管炎  

 その他の非感染性炎症性疾患

 内分泌異常

 腫瘍

などを鑑別として検査を行い、原因を調べます

                                                        


まとめ

 発熱の原因は多岐にわたります。

 ①まずは頻度が高い感染症の除外(経過をみながら1週間程度で判断します)

 ②よくならない場合は、他の病気がないか調べる の流れが一般的となります

 発熱の原因を調べる検査は

 抗原・PCR検査、血液検査、喀痰検査、レントゲン検査、CT検査などがあります

                                                        

参考文献

診療エッセンシャルズ新改訂第3版 第10章 日経BP