よくある症状 ⑤倦怠感について
2023.02.09 ☆よくある症状☆呼吸器内科☆病気の解説☆発熱外来
倦怠感は一般的に だるい、つらい と表現されます
疲れやすい、から 疲れてなにもできない まで程度は様々あります。
倦怠感の原因としては、以下が挙げられます
急性発症、意識障害、症状がつよい(呼吸・苦痛など) 冷汗、嘔吐、血圧低下
などがみられるものは重症の可能性があり、早期に診断が必要です。
倦怠感の他にある症状(随伴症状)で原因の鑑別をします
発熱 → 感染症、膠原病・血管炎、悪性腫瘍、肝炎
労作時呼吸困難 → 心不全、貧血
悪心 → 肝・腎・副腎不全、薬物・毒物
口渇 → 脱水、糖尿病、高Ca血症、薬物
体重減少 → 慢性炎症・感染症、悪性腫瘍、糖尿病、甲状腺機能亢進症、副腎不全
体重増加 → 心不全、腎不全、甲状腺機能低下症
便秘 → 高Ca血症、甲状腺機能低下症
しびれ → 栄養障害、糖尿病
抑うつ気分 → うつ病
それぞれの病気の特徴を挙げます
①心不全
発症リスク: 動脈硬化のリスク(特に高血圧)、虚血性心疾患、弁膜症、心筋症の既往など
症状: 胸痛、呼吸困難、臥床時の咳、むくみ、体重増加、動悸、失神
②貧血
発症リスク: 腹部手術歴、癌の既往、肝疾患・腎疾患、月経過多、偏食など
症状: 労作時の息切れ・動悸
③脱水
発症リスク: 経口摂取不良 嘔吐、下痢、多尿、発熱・発汗、高温環境への暴露
症状: 口渇、尿量低下、体重減少
④感染症
発症リスク:感染症の暴露歴、免疫不全のリスクがある など
症状: 呼吸器、肝・胆・膵を含む消化器、泌尿生殖器、皮膚、関節などの局所症状
⑤肝不全・肝炎
発症リスク: アルコール多飲、輸血歴、薬剤使用歴、肝疾患既往など
症状: 食欲不振、悪心・嘔吐、右季肋部痛、腹部膨満、浮腫、黄疸・着色尿、掻痒感、発熱・関節痛
⑥腎不全
発症リスク: 高血圧、糖尿病、腎疾患・タンパク尿、膠原病の既往、薬剤使用歴、腎疾患の家族歴
症状: 食欲不振、悪心・嘔吐、尿量減少、呼吸困難、浮腫
⑦副腎不全(ホルモンが不足します)
発症リスク: ステロイド内服歴、結核やがんの既往、先行するストレス(感染症、外傷、手術など)
症状: 食欲低下、悪心・嘔吐、腹痛、下痢・便秘、発熱、筋肉・関節のこわばり
⑧血糖異常(低血糖や高血糖)
発症リスク: 糖尿病の既往 血糖降下薬・インスリンの使用歴
症状: 空腹感・あくび(低血糖)、口渇・多飲・多尿・体重減少(高血糖)
⑨電解質異常
発症リスク: 癌や呼吸器疾患の既往、薬物、アルコールの使用 など
症状: 頭痛・悪心・痙攣・意識障害(低Na血症)、脱力・多尿・便秘(低K血症)、多尿・口渇・便秘・悪心・嘔吐・意識障害(高Ca血症)
⑩希死念慮を伴ううつ病
発症リスク: 抑うつ気分、喜びの消失、全身倦怠感の日内変動、睡眠障害、食欲低下、集中力・決断力の低下、不安焦燥、自信の喪失 など
症状: 暗い表情、小さな声、遅い返答、身だしなみがみだれている など
⑪栄養障害
発症リスク: 摂食障害、消化器手術歴、アルコール多飲歴、慢性下痢、偏食(菜食主義など)、肝疾患の既往
症状: 体重減少、むくみ、しびれ、ふらつき、認知機能低下、皮膚・粘膜のあれ、労作時息切れ
⑫薬物・毒物
発症リスク: 利尿剤、降圧剤、向精神薬、抗ヒスタミン薬、筋弛緩薬、抗癌剤、アルコール、カフェイン、ニコチンをふくめ乱用している薬物の禁断症状の可能性もあり
症状: 起立性低血圧、意識変容、粘膜乾燥、腸蠕動音低下など
⑬膠原病・血管炎
症状: 筋肉痛・関節痛・こわばり、皮疹、レイノー現象(手足の先が部分的に白くなる)、頭痛、体重減少、眼・口の渇き、顔面紅斑、皮下結節、眼の充血、潰瘍、丘疹状出血斑、関節の圧痛、可動痛、関節腫脹、熱感、知覚低下など
⑭悪性腫瘍
発症リスク: 癌の既往歴、喫煙など
症状: 体重減少、消化器・呼吸器・泌尿生殖器に関する局所症状、夜間の背部痛・腰痛など
⑮甲状腺機能異常
発症リスク: 女性におおい、甲状腺疾患既往歴
症状: 動悸、発汗過多、暑がり、食欲あるのに体重減少、下痢、月経過少(甲状腺機能亢進症)、眠気、発汗減少、寒がり、体重増加、便秘、月経過多、むくみ、認知低下(甲状腺機能低下症)
まとめ
倦怠感は多くの病気でみられ、病気が見つかるきっかけとなることもあります
ながく続く場合は重大な病気が隠れている可能性もあり、放置せずに原因を調べましょう。
急速に進む場合や症状が強い場合は、早急な診断と治療が必要です。
参考文献
診療エッセンシャルズ新改訂第3版 第2章 全身倦怠感 日経BP