よくある症状 ②呼吸困難について
2023.01.30 ☆よくある症状☆呼吸器内科☆病気の解説
呼吸困難 とは
「呼吸時の不快な感覚」という、主観的な症状を指します
呼吸不全がある場合とない場合があります。
呼吸不全 とは
「室内気吸気時のPaO2 60Torr(SpO2 ≦90%)となる呼吸障害、またはそれに相当する異常状態」
であり、医学的に「酸欠」があるかどうかで決定されます。
正確には血液ガス分析で評価しますが、パルスオキシメーターで代用する場合は SpO2≦90%相当です
呼吸困難は、不安に伴うものなど、呼吸不全を合併しない場合も多くみられます
呼吸困難の原因となる疾患は、以下のとおり多岐にわたります
呼吸困難の評価
① 呼吸不全があるかどうか
血液ガス分析、もしくはパルスオキシメーター(SpO2 ≦ 90%)で評価します
その他、呼吸回数や呼吸の仕方なども合わせ総合的に判断します
呼吸不全があり、さらに
呼吸回数が多い(1分間に30回以上)、チアノーゼ(血色が悪い)、冷や汗、
頻脈、振戦(ふるえ)、血圧低下、意識障害(興奮・傾眠)
などがある場合は、重症の可能性があります
② 発症状況(超急性、急性、亜急性、慢性)の確認
発症の状況から
超急性(当日~数日)、急性(1か月以内)、亜急性(1~3か月)、慢性(3か月以上)
を確認し、それぞれに応じて原因のあたりをつけます
特に、超急性・急性で症状が強い場合は、早急に診断を付ける必要があります
③ 他の症状や全身状態の評価
呼吸困難は呼吸器・循環器疾患以外にも
神経筋疾患、内分泌疾患、血液疾患、腎疾患、中枢神経系疾患、悪性腫瘍 など
でもおこります
そのため
発熱、せき、たん、胸痛、足のむくみ、手足のしびれ・脱力、貧血 など
がみられるかどうかも診断のために重要です
肺や心臓の病気では、ヒューヒュー、ゼイゼイと音が聞こえたり、咳や痰が増えることが多く見られます
④ 検査
血液検査
血算、生化学、CRP、Dダイマー、BNP、内分泌検査、感染症検査 など
画像検査
胸部レントゲン検査 CT検査 など
生理学的検査
肺機能検査、心電図、心エコー検査 など
これらの流れから原因を評価し、それぞれの治療を行います
まとめ
呼吸困難は自覚症状で、呼吸不全(酸欠)がある場合と、ない場合もあります
呼吸器・循環器疾患が多いですが、他の病気も原因となることがあります。
発症の仕方・他の症状・検査結果をもとに原因をしらべ、治療を行います
参考文献
臨床医マニュアル第5版 7-15 呼吸困難 臨床医マニュアル編集委員会 (編集) 医歯薬出版