よくある症状 ⑥発疹について
見た目でわかる皮膚の変化 を 皮疹 と呼びます
そのうち特に急に現れた皮疹を 発疹 と呼びます
赤くなってかゆい、ぽつぽつがでた、皮膚がもりあがってきた、など様々あります。
皮疹は 原発疹 と 続発疹(原発疹が変化したもの)に分類されます
それぞれの見た目、大きさ、経過により以下の呼び方に分かれます
原発疹
・盛り上がりのない色の変化 → 紅斑(赤)、紫斑(紫)、色素斑(その他)
・盛り上がりのあるもの → 丘疹(1cm未満)、結節(1-3㎝未満)、腫瘤(3㎝以上)
・内容をいれた盛り上がり →水疱(水)、膿疱(膿)
・一時的な盛り上がり → 膨疹(24時間以内に消退)
続発疹
・皮膚が欠損するもの →表皮剥離、びらん、潰瘍、亀裂(深さで名称が変わります)
・隆起、または陥凹するもの → 瘢痕、苔癬化、萎縮(皮膚が固くなり縮んだものなど)
・皮疹上に付着するもの → 鱗屑、痂疲(かさかさ、かさぶたなど)
診断の手順は
・急性の発疹(数日~2週以内)
・亜急性(2週~1か月以内)・慢性(1か月以上)
によりわかれます
急性の発疹のうち、生命にかかわる重要緊急疾患をKiller rashと呼びます
Killer Rash として以下の病気が知られています
敗血症疹、電撃性紫斑病(髄膜炎菌感染症など)、感染性心内膜炎、トキシック・ショック症候群
スティーブンス・ジョンソン症候群、中毒性表皮壊死症、川崎病、アナフィラキシー・ショック
重症を示唆するサイン(red flag sign)
バイタルに異常がある(脈拍、血圧、血中酸素濃度の異常)
アナフィラキシー症状(皮膚の他、呼吸・循環・消化管症状)
急速に拡大する皮疹、特に水疱、紫斑
髄膜刺激徴候(頭痛、嘔吐、項部硬直:首を前屈できないなど)
がある場合は重症の可能性があり、専門医療機関の受診が必要です。
red flag singがない場合は、発熱の有無や、発疹の範囲で病態を鑑別します
発熱がある場合
局所性(体の一部分にみられる)
水疱 → 単純ヘルペス、手足口病、水痘など
紅斑・丘疹 → 丹毒、蜂窩織炎、壊死性筋膜炎、麻疹、全身性エリテマトーデスなど
紫斑 → 感染性心内膜炎など
全身性(体の全体にみられる)
水疱 → 水痘、播種性帯状疱疹、痂疲性伝染性膿痂疹、敗血症疹など
紅斑・丘疹 → 麻疹、風疹、伝染性単核球症、HIV感染症、伝染性紅斑、猩紅熱、ツツガムシ病、川崎病など
紫斑 → 敗血症疹など
発熱がない場合
接触性皮膚炎(かぶれ)、じんましん、虫刺症(虫刺され)、帯状疱疹、毛嚢炎など
※亜急性・慢性経過の皮疹の場合は、特殊な病態の可能性があり、皮膚科専門医の診察が必要です
まとめ
急にでてきた皮膚の変化を発疹とよびます
一般的にはアレルギーや感染が原因となることが多くみられます
症状が強い場合や悪化する場合は、すぐに専門医療機関へ紹介が必要です。
参考文献
外来医マニュアル第4版 第2章 症候編 発疹 医歯薬出版
臨床医マニュアル第5版 24章 皮膚・軟部組織疾患 医歯薬出版