ブログ

感染症法について 「5類」とは

2023.01.19

                                                         

感染症法とは

感染症の予防 及び 感染症の患者に対する医療に関する総合的な施策の推進 を図る

目的で制定されている法律です

                                                         

感染症法では、各感染症は、感染力 及び 罹患した場合の重篤性等 を総合的に判断し

1~5類新型インフルエンザ等感染症指定感染症新感染症

の8つに位置付けられ、実施できる措置が決められています

                                                         

厚生労働省 資料『感染症法の対象となる感染症の分類と 考え方』 より引用 改変

                                                         

流行当初、COVID-19の詳細が不明であったため2類相当の「指定感染症」とされました

2021年の2月に法改正では5つの類型に入らない「新型インフルエンザ等感染症」に位置づけられ、2類よりも厳しい措置や強い行動制限が取れるようになっていました。

                                                         

流行から3年が経過した現在、新型コロナウイルス感染症はオミクロン株に置きかわり、重症化率も低下しています。

また社会・経済活動への影響も鑑み、

「新型インフルエンザ等感染症」 から 「5類」 へ引き下げられる見通しとなりました。

                                                         そこで、今後COVID-19治療はどのように変わるのかをまとめてみました。

                                                         

現在の感染症法において、実施できる措置は以下のとおりです

 

厚生労働省 資料 『感染症法に基づく主な措置の概要』 より引用 改変

                                                         

現在、COVID-19は「新型インフルエンザ等感染症」のため、かなり強力に措置が実施できるのに対し、

「5類」の場合は、入院勧告や就労制限、まん延防止策は実施できなくなります

                                                         

『感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律』 より 引用・改変

                                                         

現在、COVID-19の入院費、診断に必要な外来検査(抗原・PCR検査)、ワクチンは 公費 が適応ですが

「5類」の場合は、原則は自己負担が発生します

                                                         

2023年1月11日 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードでは以下の影響が懸念されています

                                                         

感染症法に基づく入院措置がなくなることによる影響

 ・行政が病床確保や入院調整を行ってきたが、措置がなくなる可能性

 ・今後は入院は病院間の連携により実施されるが、陽性者が増加した場合は対応が困難となる可能性

 ・自己負担が発生することにより、感染者が検査や受診を受けない・受けられない可能性

感染症法に基づく感染者の自宅・ホテル待機がなくなることによる影響

 ・感染者の自宅/宿泊療養、濃厚接触者の待機の要請がなくなるため、感染者との接触機会が増える可能性

 ・家族などを介した重症化リスクの高い高齢者への感染が発生する可能性

                                                         

2023年春に COVID-19は「5類」へ引き下げられる見通し、となっています。

ただし経過措置として、当面の間は医療費などの公費負担は継続されるようです。

                                                         

ウイルス自体が消滅したわけではないため、今後もCOVID-19は増減を繰り返すと予想されます。

ただし、基本的な対策自体はこれまでと同様です

                                                    

     

 ① 体調が悪い時は休み、自宅または医療機関で検査を受けましょう

 ② 検査で陽性の場合 

    重症化リスクの高い方 発症5日以内であれば 抗ウイルス薬

    重症化リスクのない方 対症療法

  検査で陰性の場合

    2-3日は自宅で様子を見ましょう

    症状が続く/悪化する場合は再検査を受けましょう

 ③ 軽快した場合  発症翌日から7日間 みて、8日目から解除

   悪化する場合  医療機関の受診が必要です

                                                         

COVID-19自体の重症化率は低下していますが、リスクがある方への感染は生命にかかわります

ご高齢の方はCOVID-19よりは、併発する誤嚥性肺炎や心不全などが死因となることが多くみられます。

重症化リスクの高い方へうつさないことが、今後COVID-19と共存するため最も重要と考えます。

                                                         


まとめ

 今春にもCOVID-19は「新型インフルエンザ等感染症」から「5類」へ引き下がる見込みです

 法律上の根拠がなくなることでCOVID-19のための病床確保が難しくなる可能性があります

 重症化率は低下していますが、感染力はつよく、ご高齢の方は合併症が生命にかかわります

  重症化リスクの高い方へうつさないことが、最も重要と考えられます。


参考資料 厚生労働省 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 

2023年1月11日 2023年1月17日 資料