専門外来(呼吸器内科・アレルギー科)

基幹病院と同質の、知見に基づいた呼吸器内科・アレルギー科の専門診療を提供します。
咳、痰、息切れ、倦怠感などの症状が続く場合は、肺や心臓の病気の可能性があります。肺と心臓はつながっているため、肺の病気がひどくなると心臓にも負担がかかり、心不全も合併します。

呼吸器の病気pulmonology

胸部異常陰影

健診で異常陰影を指摘された方の二次健診や、他施設で偶然発見された陰影の評価を行います。連携施設でCTを実施し、最短で当日中に結果と方針についてご説明します。

感染症

急性感染症(かぜ症候群、気管支炎、肺炎など)

ウイルス、または細菌感染が原因となって起こる病気です。発熱、せき、痰、呼吸苦などがみられます。ウイルスに対して抗菌剤は効果がありませんので、症状を和らげる対症療法を行いながら、自分の免疫力でウイルスが排除されるのを待ちます。通常は5~7日で軽快します。細菌感染(肺炎球菌、インフルエンザ桿菌、マイコプラズマなど)が疑われる場合は抗菌剤を投与します。一般的に5-10日の内服で軽快しますが、呼吸不全(酸欠)がある場合や難治性の場合は入院で点滴の抗菌剤が必要となります。

【画像】急性感染症(かぜ症候群、気管支炎、肺炎など)

慢性感染症(肺結核・非結核性抗酸菌症、真菌症など)

抗酸菌(結核の仲間)や真菌(かび)などの、特殊な細菌が肺内に住みつくことが原因となっておこります。免疫力や体力が低下している方に起こりやすい病気です。数ヶ月以上続く慢性的な咳・痰(血痰)、微熱、体重減少がみられます。痰や血液検査で原因となっている菌を調べ、抗菌剤や抗真菌薬を投与します。肺結核は6~9ヶ月、非結核性抗酸菌症は難治性の場合が多く年単位の内服治療が必要となります。抗真菌薬も月単位の継続が必要です。

診断のための検査
  • レントゲン検査
  • 血液検査
  • 抗原検査
  • 喀痰検査
  • 気管支鏡検査など

慢性閉塞性肺疾患
(COPD:chronic obstructive pulmonary disease)

タバコなどの有害ガスを反復吸入することが原因となり肺が壊れてしまう病気です。症状は息切れや痰、咳がみられます。喫煙者の15~20%がCOPDを発症します。肺が壊れると酸素の取り込みや、二酸化炭素を排出する機能が低下します。また慢性的に気管支に炎症が起きるため痰が増え、空気の通り道も細くなるため喘鳴(ゼイゼイ、ヒューヒュー)が生じます。壊れてしまった肺は元に戻りませんので、まずは禁煙が最優先です。症状を和らげるため細くなった気管支を広げる薬剤(気管支拡張剤)や去痰剤を投与します。

診断のための検査
  • レントゲン検査
  • CT検査
  • 肺機能検査

間質性肺炎

何らかの原因により肺が固くなる病気です。症状は息切れや咳がみられます。膠原病(リウマチ、強皮症など)、薬剤、粉塵吸入、アレルギーなどが原因となりますが、原因がわからないものもあります(特発性間質性肺炎)。壊れてしまった肺は元にもどりませんので、慢性的な進行がみられる場合は、進行を遅らせるための薬剤を投与します。原因によりステロイド剤、免疫抑制剤、抗線維化薬を投与します。

診断のための検査
  • レントゲン検査
  • CT検査
  • 肺機能検査
  • 血液検査

睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)

睡眠中に無呼吸を繰り返すことで、様々な合併症を起こす病気です。いびき、夜間の頻尿、日中の眠気や起床時の頭痛などを認めます。日中の眠気は、作業効率の低下、居眠り運転事故や労働災害の原因にもなります。空気の通り道である上気道(喉のあたり)が狭くなることが原因です。首まわりの脂肪の沈着が多いと上気道は狭くなりやすく、肥満はSASと深く関係しています。また扁桃肥大、舌が大きいこと、鼻炎・鼻中隔弯曲といった鼻の病気、あごの後退やあごが小さいことも原因となり、肥満でなくてもSASになります。夜寝るときに鼻から空気を送りこみ、気道を広げる装置(CPAP)をつけて無呼吸になりにくくします。

【画像】睡眠時無呼吸症候群
診断のための検査
  • アプノモニター(簡易検査、自宅で可能)
  • ポリソムノグラフィー(詳細検査、入院が必要)

肺癌

肺原発(肺から発生する)の悪性腫瘍です。早期では症状はありませんが、進行すると咳、血痰、息切れ、体重減少、転移による症状(痛み、麻痺など)がみられます。症状がでるころにはかなり進行していることが多く、早期発見が極めて重要です。健康診断や人間ドッグにて定期的なレントゲン検査やCT検査をお勧めします。肺癌が疑われる場合は確定診断(気管支鏡検査など)が必要なため、速やかに高次医療機関へ紹介します。

診断のための検査
  • レントゲン検査
  • CT検査
  • 血液検査
  • 気管支鏡検査

慢性咳嗽(咳喘息、アトピー咳嗽、後鼻漏、逆流性食道炎など)

2ヶ月以上続くせきを慢性咳嗽といいます。まずは原因となりえる肺の病気(肺炎、気管支喘息、肺癌など)がないか評価します。肺の病気がなく、咳症状のみで喘鳴もなく肺機能検査も正常な場合は咳喘息を、アレルギー体質がある場合はアトピー咳嗽を疑います。ほか、肺以外の原因として後鼻漏(慢性副鼻腔炎、ちくのう症)、逆流性食道炎があります。疑われる原因によって気管支拡張剤、抗アレルギー剤、胃薬などを投与します。

【画像】慢性咳嗽(咳喘息、アトピー咳嗽、後鼻漏、逆流性食道炎など)
診断のための検査
  • レントゲン検査
  • CT検査
  • 血液検査
  • 呼吸機能検査
  • 呼気NO検査

アレルギーの病気Allergic

気管支喘息

季節の変わり目や、夕方~朝にかけて悪化する咳症状などの変動性の症状が特徴です。アレルギー体質の方や、好酸球(白血球の1種)が多い方に多く発症がみられます。慢性的に気管支に炎症がみられており、ホコリ、たばこの煙、湿気、寒冷刺激、ストレスなどが引き金となって気管支が細くなることで、発作的に咳や喘鳴(ゼイゼイ、ヒューヒュー)がみられます。発作の予防には炎症をおちつかせる吸入ステロイド剤が最も重要で、気管支拡張剤、抗アレルギー剤などを併用します。発作が起きた場合は気管支拡張剤や短期間のステロイド剤内服を行います。呼吸不全(酸欠)がある場合は入院が必要です。

診断のための検査
  • レントゲン検査
  • 血液検査
  • 肺機能検査
  • 呼気NO検査

アレルギー性鼻炎

くしゃみ、透明な水溶性の鼻水、鼻づまりが特徴です。アレルギー体質の方に、からだに合わないものが体内に入った時に症状がみられます。ダニやホコリが原因となり症状が一年中みられる『通年性アレルギー性鼻炎』と、スギやヒノキの花粉などが原因で、花粉の時期だけに症状がみられる『季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)』にわかれます。花粉症はアレルギー性結膜炎の合併が多くみられます。抗アレルギー剤、点鼻ステロイド薬、アレルゲン免疫療法、生物製剤などの薬物療法を行います。薬物療法で症状が抑えられない場合は鼻の粘膜をレーザーで凝固する下鼻甲介粘膜焼灼術などの手術療法があります。耳鼻科と連携し診察します。

【画像】アレルギー性鼻炎

アレルギー性結膜疾患

眼のかゆみ、目やに、流涙、充血、異物感などの症状がみられます。アレルギーによって結膜に炎症がおきる病気です。結膜に特殊な変化(増殖性変化)がない場合はアレルギー性結膜炎を(花粉症など)、顔にアトピー性皮膚炎を合併している場合はアトピー性角結膜炎を疑います。結膜に増殖性変化がある場合は春季カタルを、異物などによる機械的刺激がある場合は巨大乳頭結膜炎を疑います。薬物療法が中心ですが、抗アレルギー薬で改善がみられない場合は、ステロイド剤点眼や軟膏、免疫抑制剤の点眼、手術が必要となることがあります。感染性結膜炎との鑑別が重要であり、眼科と連携し治療します。

診断のための検査
  • アレルギー検査(血液検査)

じんましん

かゆみのある膨疹(皮膚のふくらみ)がみられます。多くは数十分~数時間以内に消退しますが、数日間持続するものもあります。感染、食物、疲労・ストレス、気温の変化などが原因となりますが、原因不明なものもあります。原因・悪化因子の除去・回避が第一です。抗アレルギー剤の内服を行います。

食物、薬物アレルギー

ある特定の食べ物、薬物に対してアレルギー反応があらわれる疾患です。
食物アレルギーの原因となる物質は、乳幼児期には小麦や大豆、鶏卵、牛乳など、学童期以降では甲殻類や果物、そば、魚類、ピーナッツなど、成長に伴い変わっていきます。子どもの食物アレルギーは、成長に伴い徐々に食べられるようになることが多いですが、大人の食物アレルギーは原因の除去を続ける必要があります。薬物に対してもアレルギー反応がみられることがあります。発赤、かゆみ、むくみなどの皮膚症状、くしゃみ、鼻水、咳、喘鳴などの呼吸器症状の他、目の充血や、口の中や唇、舌の違和感などの粘膜症状、下痢、吐き気・嘔吐、血便などの消化器症状、意識障害などの症状があります。まずはアレルギーが疑われる食物・薬物を休止し、症状が出現しなくなることが診断の目安となります。食物アレルギーの確定診断には食物経口負荷試験があります(※特別な施設基準が必要なため、実施可能な他専門施設へ紹介させていただきます)。

アナフィラキシー

全身に症状を来す重症のアレルギー反応で生命にかかわる危険な状態です。アレルギーの原因となりえる物質の接種・接触後、急速(数分~数時間以内)に進行する、以下の症状がみられます。

a.皮膚・粘膜症状(全身におよぶ発疹、かゆみ、紅潮、浮腫)
b.呼吸器症状(呼吸困難、気道狭窄、ぜん鳴、低酸素血症)
c.循環器症状(血圧低下、意識障害)
d.持続する消化器症状(腹部の強い痛み、嘔吐)

  1. a.皮膚症状とb.呼吸器、c.循環器症状の1つ以上
  2. a~dのうち2つ以上
  3. リスクが高い方において急速な血圧低下がある

のいずれかが見られる場合をアナフィラキシーと診断します。治療は一刻も早くアドレナリンの注射が必要です。原因は食物、薬剤、昆虫の毒などがあります。回避が最も重要ですが、万が一に備えアナフィラキシーになったことがある方、アナフィラキシーになる危険性が高い方に対して保険診療でアドレナリン自己注射薬(エピペン®)の処方が可能です。

アレルギー疾患のための検査

  • 血液検査(好酸球、アレルギー関連抗体検査)
  • 各科の特殊検査など