メンズヘルス外来Men's Health Outpatient
中年~壮年以降の男性で、ほてり、不眠、全身倦怠感、頭痛、抑うつ、勃起力低下、イライラ、筋肉量の低下などの男性更年期障害の症状がみられる方は、加齢男性性腺機能低下症候群(late onset hypogonadism(LOH)症候群)の可能性があります。
LOH症候群は加齢による男性ホルモン(アンドロゲンであるテストステロン)の低下が原因です。テストステロン低下は男性更年期障害症状の他、認知機能低下、骨粗鬆症、心血管疾患、内臓脂肪増加、インスリン抵抗性悪化、脂質異常症に関連し、メタボリックシンドロームや心血管系疾患の危険性を高めます。LOH症候群の診断基準を満たす方に、保険診療でアンドロゲン補充療法(ART)を実施できます。
LOH症候群の症状
- 何となく体調が悪い
- 不安感
- イライラする
- 抑うつ
- 不眠
- 集中力の低下
- 記憶力の低下
- 性欲の減少
- 筋力低下
- 疲れやすい
- ほてり・発汗
- 頭痛
- 勃起力低下 など
アンドロゲン補充療法(ART)の適応
適応基準
LOH症状を有し、テストステロン低値の40歳以上の男性
除外基準(これらに当てはまる方はARTの適応外となります)
- 前立腺がん、(治療前PSA>2.0ng/ml以上。2.0<PSA<4.0ng/mlの場合は慎重に検討)
- 中等度以上の前立腺肥大症
- 乳がん
- 多血症
- 重度の肝機能障害
- 重度の腎機能不全
- うっ血性心不全
- 重度の高血圧
- 夜間睡眠時無呼吸
診療の流れ
-
問診
男性更年期障害をチェックするための問診票(AMSスコア)でリスク評価をします。
Aging Males’ Symptons(AMS)スコア
①~⑰の各項目を5段階で評価し、合計点数を記載してください
この表はスワイプできます症状 なし
(1点)軽い
(2点)中等度
(3点)重い
(4点)非常に
重い
(5点)質問1
体調が思わしくない質問2
関節や筋肉の痛み質問3
ひどい発汗やほてり質問4
寝つきが悪い・眠りが浅い質問5
疲れやすい質問6
イライラする質問7
神経質になった質問8
不安感(パニックになる)質問9
行動力の低下質問10
筋力の低下質問11
抑うつ質問12
『人生の山は過ぎた』質問13
『力尽きた、どん底にいる』質問14
ひげの伸びが遅くなった質問15
性的能力の衰え質問16
早朝勃起(朝立ち)の減少質問17
性欲の低下合計点数
合計 0点LOH症候群の程度
17~26点…なし27~36点…軽度37~49点 …中程度50点以上 …重度- 27点以上の場合はLOH症候群の検査をお勧めします
参考文献
Heinemann LA, et al. : A new 'Aging Males' Symptoms' (AMS) rating scale. Aging Male 2 : 105-114, 1999 -
検査
男性ホルモン検査(テストステロン値)を行います(午前中に検査が必要です)。また男性ホルモン低下の原因となる他の病気や、メタボリックシンドローム、心疾患合併症などの合併症がないどうかも確認します。1週間後にホルモン検査結果と合わせて診断します。
-
治療
症状とテストステロン量から総合的に判断し、アンドロゲン補充療法(ART)を検討します(LOH症候群の方は保険診療)。スケジュールは2~4週間おきに筋肉注射を行います。まずは2~3ヶ月経過をみて、症状の改善があるか確認します。改善がみられる場合は継続します。定期的に血液検査や心電図検査などを行い副作用がないことを確認します。その他、体の調子に合わせて漢方薬、抗うつ剤、EDに対しては自由診療でPDE5阻害薬の処方も可能です。
費用の目安
初回は男性ホルモン量や合併症評価のため、血液検査、心電図検査、レントゲン検査(必要に応じ睡眠時無呼吸症候群の検査)などを行います。初診の方の場合は3割負担で約5,000円となります。2回目以降にARTを開始する場合は保険診療の場合は1,500~2,000円前後となります。
健康診断medical checkup
早期発見、早期治療のために定期的な健康診断を推奨します
雇入時・定期健康診断などの各種健診を実施します。
雇入時・定期健康診断などその他の健康診断について
Aコース | Bコース (企業雇入時) |
Cコース (血液検査あり) |
Dコース (最小項目) |
|
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既往歴及び業務歴 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
自覚症状及び他覚症状の 有無 |
〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
身長、体重、腹囲、視力、聴力 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
血圧測定 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
貧血検査 (血色素量及び赤血球数) |
〇 (白血球、血小板数も含む) |
〇 | 〇 | |
肝機能検査 (AST、ALT、γGTP) |
〇 | 〇 | 〇 | |
血中脂質検査 (LDL・HDL、中性脂肪) |
〇 | 〇 | 〇 | |
腎機能検査(BUN、Cre) | 〇 | |||
血糖検査 | 〇 | 〇 | 〇 | |
HbA1c | 〇 | |||
尿検査 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
胸部エックス線検査 | 〇 | 〇 | ||
心電図検査 | 〇 | 〇 | ||
費用 | 11,000円 | 9,900円 | 6,600円 | 3,300円 |
追加検査
費用 | |
---|---|
便潜血検査 | 700円(1日) 1,000円(2日) |
ピロリ菌抗体検査 | 1,500円 |
腫瘍マーカー(PSA、CEA、CA19-9、SCCなど) | 2,000円~ |
肝炎ウイルス検査(HBs抗原・抗体、HCV抗体) | 3,000円 |
胸部レントゲン検査 | 2,000円 |
胸部CT検査(連携施設に委託) | 14,000円 |
肺機能検査 | 2,000円 |
その他の項目
費用 | |
---|---|
血液型(ABO型、Rh型) | 1,500円 |
麻疹、風疹、水痘・帯状疱疹、ムンプス(おたふく)、梅毒、HIV抗体検査 | 各3,000円 |
基本健診・特定健診・後期高齢者健診について
対象者
- 基本健診
- 19~39歳の方および生活保護世帯の方
- 特定健診
- 40~74歳の方で、岩沼市国民健康保険被保険者の方(後期高齢者医療の該当者は除く)
- 後期高齢者健診
- 75歳以上の方及び65歳以上の後期高齢者医療被保険者の方
基本項目
- 尿検査
- 身体計測
- 問診
- 腹囲計測
- 血圧測定
- 聴打診
- コレステロール
- 中性脂肪
- 肝機能
- ヘモグロビンA1c
- 血清クレアチニン
- 特定健診は全員に貧血検査、50歳の男性に前立腺がん検査を実施します。
- 後期高齢者健診は腹囲計測は除きます。
費用の目安
- 基本健診
- 生活保護世帯等の方は生活保護受給証明書により無料
- 特定健診
- 基本項目 2,000円
- 後期高齢者健診
- 基本項目 無料
- 詳細な健診
- ※詳細な健診については医師の判断により実施した場合は無料、それ以外は実費負担となります。
貧血検査(550円)、心電図検査(1,300円)の実費のご負担があります。
そのほかご希望により検査項目追加も可能です。
予防接種vaccination
費用 | |
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新型コロナウイルスワクチン | 未定 |
インフルエンザワクチン | 未定 |
麻疹風疹(MR)ワクチン | 9,000円 |
ムンプス(おたふくかぜ)ワクチン | 5,000円 |
水痘ワクチン | 7,700円 |
帯状疱疹ワクチン シングリックス | 22,000円/回 2回接種必要 |
3種混合ワクチン(成人用) | 5,500円 |
破傷風トキソイド | 3,300円 |
肺炎球菌ワクチン ニューモバックス | 7,700円 対象者は公費助成あり |
肺炎球菌ワクチン プレベナー | 11,000円 |
日本脳炎ワクチン(成人用) | 6,600円 |
- その他にご希望があればご相談ください
- 小児の定期予防接種は行なっておりません
その他の自由診療Self-pay medical treatment
ご希望に合わせてその他の自由診療にも対応します。
ED治療薬、AGA治療薬などの内服薬はオンライン診療も可能です。(初回はご来院ください)
- 初診料・再診料はかかりません
- いずれも国内の承認薬を使用しています
- 医療保険の適応外のため全額自費となります
- 保険診療と同日には受けられません
勃起不全(Erectile Dysfunction; ED)治療薬
ご希望に合わせ3種類の薬剤をご利用いただけます。
- シルデナフィル錠 VI『テバ』25㎎/50㎎
世界初のED治療薬であるバイアグラ®のジェネリック製剤です。
スタンダードな効果で作用時間は4~5時間程度です。
行為の1時間前に内服します(空腹時は30分程度で効果がでます)。
※食事の影響で効果が落ちるため、食後2時間以上空けること望ましいです。 - バルデナフィル錠 『サワイ』10mg/20mg
レビトラ®のジェネリック製剤です。
即効性があり、他の薬剤より硬さが強いという特徴があります。
作用時間は10mg 4~5時間 /20mg 7~8時間です。
行為の1時間前に内服します(空腹時は20分程度で効果がでます)。
※食事の影響は受けにくいですが、軽い食事が望ましいです。 - タダラフィル錠 C I『あすか』10mg/20mg
シアリス®のジェネリック製剤です。
緩やかに長時間作用し、ほてりなどの副作用が比較的軽いことが特徴です。
作用時間は10mg 20~24時間 /20mg 30~36時間です。
行為の3時間前に内服します。
※食事の影響を最も受けにくいです。
副作用
顔のほてり、充血、頭痛、動悸、鼻づまり。
シルデナフィル、バルデナフィルでは4割、タダラフィルでは3割程度に見られます。
禁忌
- 以下の薬剤を内服されている方はご利用になれません
ニトログリセリンなどの硝酸薬、アミオダロン、sGC刺激薬、抗ウイルス薬、抗真菌薬 - 心血管系疾患がある方
- 血圧が不安定な方(正常にコントロールされていれば問題ありません)
- 6ヶ月以内に脳梗塞や心筋梗塞の既往がある方
- 網膜色素変性症の方
- 血液透析の方はバルデナフィルをご利用になれません
1錠あたりの価格 | |
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シルデナフィル錠 25mg VI『テバ』 シルデナフィル錠 50mg VI『テバ』 |
600円 1,000円 |
バルデナフィル錠 10mg『サワイ』 バルデナフィル錠 20mg『サワイ』 |
1,300円 1,500円 |
タダラフィル錠 10mg CI『あすか』 タダラフィル錠 20mg CI『あすか』 |
1,200円 1,300円 |
男性型脱毛症(Androgenetic alopecia;AGA)治療薬
AGAは前頭部~頭頂部にかけての脱毛が典型的な症状です。
日本人男性の場合には 20 歳代後半から30歳代にかけて著明となり、徐々に進行して40歳代以後に完成されます。発症頻度は全年齢平均で約30%と報告されています。
AGAの発症には遺伝と男性ホルモンが関与しています。
一般的に男性ホルモンはひげや体毛を濃くする方向に働きます。
しかし前頭部や頭頂部などの部位では逆に毛が薄くなる方向に働いてしまいます。
そのため、生まれつき男性ホルモンが効きすぎる体質の方は前頭部や頭頂部の毛が薄くなりやすくなります。
治療法としては男性ホルモンを抑えることで発毛を促します。
男性ホルモン(テストステロン)はII型5α還元酵素の働きにより、さらに活性が高いジヒドロテストステロン(DHT)に変換されます。
この5α還元酵素を阻害(働きを弱くする)のがAGA治療薬です。
現在日本で使用可能な薬剤はフィナステリド(プロペシア®︎)、デュタステリド(ザガーロ®︎)の2種類です。
- フィナステリド錠1mg『武田テバ』
プロペシア®のジェネリック製剤です。
DHTを産生する5α還元酵素II型を阻害します。- 適応
- 男性における男性型脱毛症の進行遅延
- 用法・用量
- 1日1回 内服
- 併用禁忌薬
- なし
- 食事の影響
- なし
- 女性への適応
- なし
- 副作用
- 4.3%
リビドー減退(1.1%)、勃起機能不全(0.7%)、その他(射精障害、精液量減少、下痢、胃部不快感(1%未満)
- デュタステリド錠0.5mg ZA『NS』
ザガーロ®のジェネリック製剤です。
DHTを産生する5α還元酵素I型、II型のいずれも阻害します。- 適応
- 男性における男性型脱毛症の進行遅延
- 用法・用量
- 1日1回 内服
- 併用禁忌薬
- なし
- 食事の影響
- ほぼなし
- 女性への適応
- なし
- 副作用
- 11.7%
リビドー減退(5.8%)、勃起機能不全(5.0%)、射精障害(1.7%)
1ヶ月あたりの価格 | |
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フィナステリド錠1mg『武田テバ』 | 28錠 5,000円 |
デュタステリド錠0.5mg ZA『NS』 | 30錠 6,000円 |
ビタミン注射/美肌注射
ビタミンB群(主にB1)は、疲労や倦怠感の原因になる乳酸を除去し新陳代謝を促します。ビタミンBはにんにくに多く含まれています。注射の際ににんにくのような匂いがするため、にんにく注射と名付けられています(匂いはすぐに消えます)。
ビタミンCは免疫力の強化や抗酸化作用、コラーゲン生成による美肌効果が期待できます。
Lシステインは体の代謝を促し抗酸化作用もあるアミノ酸です。
- 注射時や血管痛を起こすことがあります。
- 副作用としてアレルギー反応・アナフィラキシーショック・発疹・蕁麻疹・かゆみ・嘔吐・悪心・浮腫・血圧低下・呼吸困難・頭痛・下痢・便秘等が起こる可能性があります。
プラセンタ
ヒト胎盤(プラセンタ)から成分を抽出した医薬品です。
アンチエイジング効果、美肌効果、血行促進・冷え性の改善、抗炎症アレルギー反応の抑制、更年期障害の改善などが期待されます。
- 副作用として注射部位の疼痛、過敏症(発疹・発熱・掻痒感など)、注射部位の硬結、頭痛、肝機能障害(AST,ALT上昇など)、ショックを起こすことがあります。
- ヒト胎盤を原料として製造される医薬品の投与により、感染症が伝播したとの報告は現在まで国内・海外ともにありません。しかし変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)等の伝播のリスクを完全には否定できません。そのためプラセンタを使用した方は、日赤を通じた献血ができなくなります(昭和49年の発売開始以来、プラセンタ投与によるウイルス肝炎、エイズ、vCJDなどの感染症の報告はありません)。
価格 | |
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にんにく注射(アリナミンF®静脈注射) 成分 ビタミンB1 |
1,000円 |
美肌注射(クリストファン®静脈注射) 成分 ビタミンC+Lシステイン |
1,200円 |
プラセンタ(ラエンネック®皮下注射) 成分 プラセンタ |
1,200円 |
他にご希望があればご相談ください。